地域活動報告

海浜

地域のご紹介:新潟県佐渡市

日本海の中央に位置する国内最大の島であり、佐渡海峡を挟み、新潟港(新潟市)から67km、直江津港(上越市)から78km、寺泊港(長岡市)から46km の海上に位置している佐渡島。今回、観光マスタープラン整備事業に参画するにあたり、佐渡島の現状とこれまでの取り組み、そして現在の課題についてご紹介します。

新潟県佐渡市:現状と概要

佐渡島への観光客は1991年の120万人をピークに減少を続けています。2016年時点で約50万人まで減少。新潟県内・関東方面からの観光客減少が大きな影響を与えています。それ以外の地域では、回復傾向にある地域も見受けられますが、全体の下支えまで至っていないのが現状です。

人口と年間宿泊者数

佐渡島の人口は57,255人(2015年国勢調査)。毎年1,000人程度減少しています。高齢化率も全国に比べ、割合を示しており2017年時では40.5%と半数弱が高齢者となっています。
年間の宿泊者数については、272,286人(2017年度佐渡市調査)そのうち、外国人宿泊者数は12,856人(2017年度観光庁調査より抜粋)となっています。

新潟県佐渡市:これまでの取り組み

今回、観光マスタープラン整備事業に参画する佐渡観光交流機構のこれまでの取り組みとして

  • 前身である(一社)佐渡地域観光交流ネットワーク(2018年4月に佐渡観光協会と合併)として、教育旅行
  • グリーンツーリズムの受け入れ地域づくりとして、民泊受け入れ家庭の掘り起こしを通じて地域を活かす旅行
  • (2017年度実績:小学校11校322名、民泊受入家庭50件、地域体験ツアー39種1566名参加)

  • 地域の民泊や体験の受け入れを行う農山漁村推進協議会の立ち上げ
  • 世界遺産を目指す相川エリアにて、ガイド育成、佐渡奉行所・京町通などを活かした「奉行所deスイーツ」「貸衣装deまちあるき」の実施
  • 佐渡市や新潟県佐渡地域振興局と連動し、釣り具屋・民宿・遊漁船と一緒にワークショップ開催
  • 地引網体験や海鮮バーベキューの販売
  • トキめき佐渡・にいがた観光圏において、観光庁公認の観光地域づくりマネージャーと連動し、佐渡市地域限定特例通訳案内士の育成(通訳案内士5名・地域限定特定通訳案内士20名※2017年度)

上記のような取り組みを行ってきました。また、現在佐渡八十八箇所霊場会との連動による、寺社民泊の可能性も現在検討を始めています。

新潟県佐渡市:観光資源

佐渡には文化や自然など、歴史的にも地理的にも日本の縮図と言われるほどの観光資源あります。ここでは、その一部を簡単にご紹介していきます。

歴史

遺跡の出土品から佐渡には、1万年前から人が住んでいたことがわかっており、日本最古の歴史書である「古事記」の国生み神話には大八島の7番目として登場しています。「日本書紀」の同じ神話には「億岐州」と「佐度州」が双子として5番目に登場。 奈良時代にすでに一国とされ、流刑地に定められた佐渡島。

  • 722年:皇室批判を行った万葉歌人の穂積朝臣老
  • 1221年:承久の乱で敗れた順徳上皇
  • 1271年:鎌倉幕府や他教を批判した日蓮聖人
  • 1434年:時の将軍の怒りを買った能楽の大成者である世阿弥

など、中世までは政争に敗れた貴族や知識人が流されてきました。
平安時代後期の「今昔物語集」にも記録されている通り、昔から金が採れる島として知られていた佐渡。江戸時代に入ると、その有望性を見出した徳川家康が幕府直轄(天領)として本格的に金銀山開発を進めます。採掘された金や銀が江戸幕府の財政を支えていました。また、鉱山で使用する炭・木材等の生産資材確保のため、山間部の森林も御林(官有林)として奉行所による厳しい管理が行われていたのです。

自然

寒暖両系の植物境界線である北緯38度線が島の中央を通過しているため、1,700種近い南北両系の植物が自生しています。また、本州側では2,000メートル級の標高でないと見ることができない山野草の群生が1,000メートル以下の標高でも見ることが可能。独特な環境から、植生においても日本の縮図と言われています。本土に見られるような大型生物(鹿・猪・熊など)がいないことから、観光客が安心してトレッキングなどで自然を楽しむことができます。大型生物による食害も無いため、植物の自然体系が崩れていないのも特徴のひとつです。

約300万年前から続く地殻変動で生まれた佐渡。日本ジオパークに認定されており、地殻変動によってもたらされた尖閣湾や小木半島に代表される美しい景観を島内の至る所で見ることができるのも魅力のひとつです。

森林や農地が大切にされた佐渡では、国際保護鳥に指定されているトキが日本で最後まで生息した場所でもあります。明治時代以降の乱獲や農薬の多用等による生息環境の悪化で絶滅寸前にまで追い込まれ、日本のトキは2003年に絶滅してしまいました。しかし、1999年に中国から贈られたトキの人工繁殖が始まり、最初のヒナが誕生。2000年以降は順調にヒナが育ち、関係者がトキが生息できる環境の整備を進めたことにより、2008年に10羽のトキを放鳥しました。飼育下で増やしたトキを佐渡の空に戻す野生復帰の取り組みが進められています。

伝統芸能

佐渡には大きく分けて3つの文化の特徴があると言われています。

  • 流罪によって流された貴族や知識人たちが伝えた貴族文化
  • 鉱山の発展により奉行や役人たちが江戸から持ち込んだ武家文化
  • 北前船によって商人や船乗りたちが運んできた町人文化

があり、これらが融合し育まれた文化となっています。

1.能楽

かつて、農家の人たちが畑仕事で謡曲を口ずさむ日常を「鶯や十戸の村の能舞台」と歌人である大町桂月が詠んだ句のとおり、能が暮らしの中に溶け込んでいる全国でも珍しい地域です。最も盛んだった時代には200以上の能舞台があったと言われており、今でも30以上の能舞台が残されています。能の大成者・世阿弥が流された地であり、江戸時代に能楽師出身の佐渡代官(初代佐渡奉行)の大久保長安が奈良から2人の能楽師を連れて来たことも大きく影響しています。佐渡の能は、武士の教養だった能が神事能として島内に広がり、村人が舞い・謡い・観るという娯楽に変化していったことが最も大きな特徴です。今なお受け継がれている佐渡の能は6月から8月に集中しており、特に6月は薪能月間として毎週どこかで観覧することが可能です。

2.佐渡おけさ

元唄は九州のハイヤ節という酒盛り唄と言われ、船乗りによって佐渡の小木地区に上陸。座敷唄から盆踊唄化し、金山の選鉱場で唄われるようになりました。1924年に設立した民謡団体「立浪会」の村田文三の歌声により「正調佐渡おけさ」として世に出してから一躍有名になり、哀調を帯びた節と洗練された優雅な踊りは、日本を代表する民謡となっています。

3.鬼太鼓

その年の五穀豊穣や大漁、家内安全を祈りながら集落の家々の厄を払うもので、島内の多くの祭礼で舞われる佐渡にしかない代表的な伝統芸能です。島内には約120地区の鬼太鼓があると言われています。
大きく分けると

  • 豆まき流
  • 一足流
  • 前浜流
  • 花笠流
  • 潟上流

の5流に分けられます。一口に鬼太鼓といっても、集落によって違うため、同じものは1つもありません。毎年5月に両津地区で開催される「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」では各地区から集まった様々な鬼太鼓を観ることができます。また8月に行われるアースセレブレーションは海外にも知名度が高い鼓童の活動もあり、欧米系の外国人にも受け入れられています。

伝統的建築物

佐渡は伝統芸能もさることながら、伝統的建築物も豊富です。

1.佐渡金銀山、北沢浮遊選鉱場

佐渡金銀山400年の歴史を伝える史跡。江戸時代の採掘抗には人形を使って当時の採掘作業を忠実に再現しています。相川の北沢地区には発電所やシックナーなど鉱山の近代化に貢献した明治以降の施設群(国の史跡)が密集しており、銅の製造過程で行われていた技術であった浮遊選鉱法を金銀の採取に応用し、世界で初めて実用化に成功した北沢浮遊選鉱場は映画「天空の城ラピュタ」を想起させます。

2.宿根木、小木民俗博物館

南佐渡の小木地区には中世から港があり、佐渡金山繁栄期の17世紀を経て、江戸後期から明治初期にかけては北前船稼業として発展しました。小さな入り江に面して、船板などを利用した板壁の民家100余棟が密集する町並みは、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。民家3棟が公開(有料)されており、集落全体が船の仕事に従事した歴史を今に伝えています。民俗学者宮本常一氏の提案により設立された旧宿根木小学校の木造校舎を利用した小木民俗博物館は南佐渡の漁業や船大工の資料のほか、昭和レトロな日用品まで、民俗資料約3万点を展示。1858年(安政5年)に宿根木で建造された千石船を当時の版図を基に復元した「白山丸」も展示されています。

松ヶ崎 屋号の里

日蓮聖人着岸の地と伝わる松ヶ崎。古い古民家が立ち並ぶ里は、佐渡特有の屋号で呼び合う文化が残っています。
佐渡には古民家が多く残っていますが、空き家になっている民家も多いことから、今後の活用が望まれています。

伝統文化

最後に佐渡の伝統文化をご紹介します。どちらの伝統文化も観光客自身が体験して楽しめます。

無名異焼

「無名異」とは、佐渡金山周辺から採れる酸化鉄を含んだ赤い土の名前で、これを粘土に混ぜて高温で焼き締めた佐渡独特の陶器が「無名異焼」です。製品としては非常に硬く、たたくと澄んだ金属音が特徴です。使い込むほどに光沢を増してくるのが魅力で、日用品から美術工芸品まで様々な種類があります。相川地区には人間国宝に認定されている伊藤赤水の窯元があり、無名異焼の里として広く知られています。

裂き織り

縦糸にはフジやシナなどの植物の皮からとった繊維や木綿糸などを使い、横糸に使い古した衣服や布地を細かく裂いた古木綿を使って再び織り直した再生布。丈夫で雨や風を通しにくいため、かつては仕事着として愛用されていました。現在では、風合いや色の取り合わせの美しさが注目され、バッグやテーブルクロス、小物類など多彩な民芸品や絵画のように美しいタペストリーなどの芸術作品が作られています。

新潟県佐渡市:課題

佐渡観光は昭和初年の日蓮上人霊跡参拝団の巡礼から始まり、高度成長期のマスツーリズム全盛期の観光ブームに乗り、1991年には123万人観光を達成しました。しかし、現在はピークに比べて半減以下になっています。

観光客減退の原因1:外部要因

  • 団体観光から個人旅行への観光動態の変化
  • 国内観光地の地域間競争の激化
  • 国内輸送機関の発達(道路、鉄道、航空)に伴い、アクセス不利化が進んでいる

上記3点が外部要因として考えられます。

観光客減退の原因2:内部要因

  • 島内2次交通の不便さ
  • 高齢化
  • 人口減
  • 宿泊施設の減少によるピーク時の宿泊受入能力の減退

などが内部要因として挙げられます。

今後の課題

日本の観光地の中でも、多くの観光資源を有しているにも関わらず、なぜ観光事業が減退しているのか。課題として以下のようなことが挙げられます。

  • コンセプトの非統一性
  • 島民の観光受入への意識向上
  • 個人旅行の受入とリピーター戦略
  • ダイバーシティの島としてのマーケティング観光経営戦略策定

新潟県佐渡は観光マスタープラン整備事業に参画します

今回、観光マスタープラン整備事業に参画することで、今後戦略的に観光事業を考えていかなければなりません。島内全体での協力体制を整備し、豊富な観光資源をフル活用できるように整備していきます。

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