地域活動報告

山岳

地域のご紹介:宮崎県綾町

九州は宮崎県のほぼ中央に位置する綾町。今回、観光マスタープラン整備事業のモデル地域の1つとして参画します。ここでは、宮崎県綾町の概要、現在の状況や地域の持っている課題などをご紹介します。

宮崎県綾町 | 現状と概要

2018年7月31日現在、人口は7,200人。年間の宿泊者数は141人の外国人を含む31,292人が訪れています。
「有機農業の町」、「照葉樹林都市」などをスローガンとする町おこしを図り、自然の中での人間らしい生活を求める全国各地からの移住者が増えている状況です。全国各地の唯一無二を持つ農山村が、自分たちの町や村に誇りを持ち、これから先の未来も美しい地域を保ち続ける運動をしているNPO法人「日本で最も美しい村」連合の加盟町村でもあります。

今回は、観光マスタープラン整備事業に参画するにあたり、綾町全域より地域資源の再発見、再発掘を目的としたプロジェクトを立ち上げます。そして、再発見、再発掘されたものを情報や商品として、認知してもらうことを目指しています。

宮崎県綾町 | これまでの取り組み

宮崎県綾町では、これまで様々な取り組みを行っています。

綾結い学アーカイブス

コンソーシアム構成団体である「綾結い学アーカイブス」は、2016年2月に設立された任意団体。

・森と農業と食を一体的に考える環境哲学(Biosophy)の体系化
・農と食と健康に関する指導者の育成
・地域の子供から大人への環境・農業実践教育・普及啓発を行うこと

上記3つを目的としています。
(綾結い学アーカイブス規約より)

これまでの取り組みとして、

  • 綾町の有機野菜を利用した加工品の製造・販売
  • 町内外の方を対象としたBIOSOPHY FOOD SCHOOL(料理教室)の開催
  • 照葉樹林文化シンポジウムの開催
  • 地元綾町における神楽の復活のための活動

等を行っています。
また、2016年より農林水産省の「農山漁村振興交付金」を活用し、都市と農村の交流を目的とした
「自然生態系農業の指導者育成」
「豊かな食の提供者育成」
「町内外の子供達を対象とした体験農業の実施」
「地元の若い世代および観光客を対象とした農業・食・ものづくりをテーマとした交流イベントの開催」
も行いました。

宮崎県綾町 | 課題

前述のような取り組みを行ってきた綾町には、以下のような3つの課題が存在しています。

基幹産業である農業の衰退

綾町では、自然の摂理を尊重した農業を推進するため、1988年、全国初の「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定しました。1989年からは

  • 自然生態系農業の基準の設定
  • 基準の審査方法
  • 審査結果による認証方法

などの基準の設定と明確なラベルの表示も行っています。
今でこそ多くの地域で取り組まれている有機・無農薬等の農業をいち早く取り入れたことにより、綾町の農作物は全国的に高い評価を受け、農業生産額は1985年の3,508百万円から1996年には30%増の4,627百万円となりました。しかし、その後、国内における安心・安全な農作物への需要の高まりに伴い、九州および全国各地において有機・無農薬などの農作物の栽培に力を入れる自治体の数は増加し、綾町における農業生産額は2013年には4,175百万円(1996年の1割減)、また農家数も1985年の781戸から2015年には331戸と半数以下になっています(農業センサスより)。

6次産業、観光業の不振

前述のように自然生態系農業あるいは有機無農薬の農業によって、綾町の全国的な知名度が上昇したものの、6次産業や農業をからめた観光業といった新しい事業や産業への転換の動きはあまり見られませんでした。ちなみに2012年〜2014年に新設された事業所の数(事業所総数に対する比率)は11.7%であり、宮崎県全体の13.8%よりも低い数値になっています(2014年経済センサスより)。
観光業に関しては、1984年の綾の照葉大吊橋建設、翌年の綾城構築、1989年の手づくり本物センター・水の郷綾酒泉の杜開業により観光客数が50万人となり、その後、1996年の綾ワイナリー、翌年の杜の麦酒工房の開業により、はじめて100万人を超えることとなりました。しかし、1998年の115万人をピークに減少傾向に転じています。2012年のユネスコエコパーク登録決定により微増したものの、その翌年の観光客数は86万人に留まっています(綾町資料より)。

神楽など伝統芸能の消滅危機

農林業を生業とする綾町にとって、森は生活の糧であり、多くの経済活動が森と密接に関わりあっています。
宮崎県内には、椎葉、諸塚、高千穂、米良といった地域において「森」を主題とする神楽が現存しているのをご存知ですか?
かつては綾町にも神楽がありました。しかし、現在残されているものは神迎えの舞の1曲のみとなっています。
そこで綾町では、若手が中心となって5年前より綾神楽の復元のための活動を行っています。
現在は、神楽の基本形である3曲(式3番)の復元(数十年後を目処に全33番の復元)および奉仕者(舞人)の育成に力を入れており、これまで綾町在住の若手を中心に5人ほどの奉仕者が誕生しています。

宮崎県綾町は山岳リゾートとして、観光マスタープラン整備事業に参画します

宮崎県綾町は、前述した課題を解決するためにも、まずは地域資源を再発見、再発掘し日本全国、また海外へも認知を高めようとしています。
今回の観光マスタープラン整備事業の参画により、綾町の変わっていく姿をレポートしていきます。

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